業務改善助成金の申請ポイントと注意点|補助額・対象経費を徹底整理【令和7年度版】

最低賃金の引き上げや人件費の増加に悩む中小企業にとって、設備投資や業務改善にかかるコストは大きな負担です。
そんな中、国が中小企業の生産性向上を支援する制度として注目されているのが 「業務改善助成金」 です。

この制度を活用すれば、ITシステムの導入、設備投資、人材育成など、日々の業務効率化に直結する取り組みに対して数十万円〜最大600万円までの助成を受けられます。
「申請は難しいのでは?」と感じる方も多いですが、ポイントを押さえれば活用は十分可能です。

この記事では、
• 業務改善助成金の仕組み
• 対象となる企業・経費の具体例
• 申請の流れと注意点
をわかりやすく整理しました。

「自社も対象になるのか?」 と迷っている方は、まずこの記事で全体像をつかんでください。

【目次】

①業務改善助成金とは?
②対象となる企業の条件は?
③助成対象経費の具体例
④申請の流れ
⑤よくある失敗と注意点
⑥まとめ

①業務改善助成金とは?

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「業務改善助成金」とは、厚生労働省が実施している中小企業向けの助成金制度で、最低賃金の引き上げに取り組む事業者を支援する目的で設けられています。賃上げに伴って生じるコスト負担を軽減しつつ、設備投資や業務改善を行うことで生産性を高め、従業員の働きやすい環境をつくることが狙いです。

この制度の大きな特徴は「生産性向上に直結する取り組み」が助成対象になる点です。例えば、レジの自動化やITシステムの導入、工場の機械更新、在宅勤務環境の整備など、日々の業務効率化に寄与する投資が幅広く対象になります。また、従業員のスキルアップを目的とした研修費用や、外部の専門家を活用するためのコンサルティング費用も含まれるのがポイントです。

補助額は取り組み内容や賃上げ幅によって異なりますが、最大で600万円が支給されます。支給率も3分の2や4分の3など高めに設定されており、自己負担を抑えつつ大規模な改善を進められる仕組みになっています。単なるコスト削減ではなく、将来的に生産性を高めて人件費の上昇に耐えられる体質をつくるという考え方に基づいているのです。

このように、業務改善助成金は「賃上げを実施する」という条件を満たせば、幅広い企業が活用できる制度です。特に、最低賃金に近い従業員を抱えている企業にとっては、経営の大きな助けとなる可能性があります。

②対象となる企業の条件は?

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業務改善助成金を活用できるのは、主に中小企業・小規模事業者です。業種によって基準が異なりますが、製造業や建設業では「資本金3億円以下または従業員300人以下」、小売業や飲食業では「資本金5,000万円以下または従業員50人以下」などの条件があります。自社がどの業種区分に当てはまるかを事前に確認することが大切です。

もうひとつ重要なのが「賃上げ要件」です。業務改善助成金は、最低賃金の引き上げを行うことを前提に支給されるため、計画的に賃金改善を実施する意思が必要です。たとえば、地域の最低賃金を一定額以上引き上げることを約束し、その証明として賃金規程や給与台帳の変更を提示することが求められます。

さらに、対象となる取組は「生産性の向上につながること」が条件です。単純な福利厚生の充実や業務と関係のない投資では対象外になります。例えば、業務効率化のためのITシステム導入、機械設備の更新、店舗改装による動線改善など、従業員の働き方や事業の生産性向上に結びつく内容が必要です。

このように、業務改善助成金は「中小企業であること」「賃上げを行うこと」「生産性向上の投資であること」という3つの条件を満たすことで申請可能となります。

③助成対象経費の具体例

業務改善助成金の魅力は、対象となる経費の幅が広いことです。単なる設備投資にとどまらず、業務改善に直結する多様な取り組みがカバーされています。ここでは代表的な例を紹介します。

1.設備投資・機械の導入

もっとも一般的なのは、業務効率化や生産性向上に役立つ設備投資です。例えば、製造業であれば省エネ型の生産設備や自動化機械の導入、小売業であればPOSレジや自動精算機の導入が該当します。これにより作業時間の短縮や人件費削減が実現できるため、助成対象として評価されやすい分野です。

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2.ITツール・システム導入

近年増えているのが、クラウドシステムや業務支援ツールの導入です。勤怠管理システム、在庫管理システム、オンライン商談ツールなど、デジタル化によって業務効率を高める取組が対象になります。DX推進の一環として申請されるケースも多く、幅広い業種で活用されています。

3.人材育成・研修費用

従業員のスキルアップを目的とした研修も助成対象です。新しいシステムを導入した際の操作研修や、生産性を高めるための教育プログラムなどが含まれます。これにより従業員一人ひとりの能力が向上し、結果的に事業全体の効率化につながります。

4.専門家の活用費用

外部コンサルタントや社労士、専門家に依頼して業務改善を進める場合、そのコンサル費用も助成対象となります。自社だけでは難しい改善計画を、専門家の知見を借りながら進めることで、より確実に効果を出すことができます。

このように、業務改善助成金は「モノの導入」だけでなく「人材育成」や「外部の知見活用」まで幅広く対象としています。自社の課題に合わせて最適な使い方を検討することが、申請成功のポイントとなります。

④申請の流れ

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業務改善助成金の申請は、大きく5つのステップに分かれています。流れ自体はシンプルですが、現場では思わぬ落とし穴が多いので、ポイントを押さえて進めることが重要です。

①申請の準備

②労働局へ提出・交付決定を受ける

③設備・システムの導入

④最低賃金の引き上げ

⑤実績報告と支給申請

①申請書類の準備
まずは「交付申請書」と「事業実施計画書」を作成します。計画書には、賃金をどれだけ引き上げるか、そしてどんな業務改善を行うかを記載します。ここで具体性がないと審査で弾かれるケースが多いので、設備投資の内容や見積額を数字で書き込むことが大切です。

②労働局へ提出・交付決定を受ける
書類を都道府県労働局に提出し、審査を受けます。ここで多い失敗は「交付決定の前に設備を発注してしまう」こと。私たちのもとに寄せられる相談でも、このミスで対象外になった事例は少なくありません。必ず交付決定の通知を受けてから実施に移りましょう。

③設備・システムの導入
交付決定を受けたら、計画通りに設備やシステムを導入します。このとき契約書や請求書、銀行振込明細、導入後の写真など、後で証拠になる資料を残しておくことが不可欠です。特に写真やデータを残さず、報告の段階で困る企業は非常に多い印象です。

④最低賃金の引き上げ
助成金の大前提は「賃上げ」です。導入だけ済ませて賃上げを忘れると不採択になります。飲食店であれば時給1,000円を1,050円に、製造業であれば月給ベースで数千円上げるなど、具体的に証明できる形で実行しなければなりません。

⑤実績報告と支給申請
事業完了後は「実績報告書」を作成して労働局へ提出します。導入経費の支払いや賃金引上げの証拠をまとめ、申請内容と齟齬がないかを確認されます。ここで不備があると支給まで数か月遅れることもあるため、準備段階から資料を整理しておくことが重要です。

最も多いのは「交付決定前に導入してしまった」「証拠資料を残さなかった」ケースです。制度自体はシンプルですが、こうした小さなミスで数十万〜数百万円の助成金を逃す企業は少なくありません。早めに専門家へ相談することで、安心して進めることができます。

⑤よくある失敗と注意点

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業務改善助成金は制度としてシンプルですが、実際の申請現場では意外なつまずきが多く見られます。

まず多いのが 「交付決定前に設備を発注してしまう」 というミスです。助成対象になるのは交付決定の通知を受けてからの経費のみで、先に発注・支払いをしてしまうと数百万円の助成が受けられなくなります。

次に、証拠資料の不足 です。契約書や納品書、銀行振込明細、導入した機器の写真などをきちんと保管していないと、実績報告で不備を指摘されるケースがあります。特に中小企業では書類管理が後回しになりがちで、結果的に支給まで大幅に遅れることもあります。

また、賃金引き上げの証明が不十分 という点も要注意です。給与台帳や就業規則に反映されていないと「実際に賃上げしたのか」が確認できず、申請が通りません。

制度を正しく使うためには、準備段階から「いつ・何を・どう証明するか」を意識することが成功のカギです。

⑥まとめ

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業務改善助成金は、中小企業にとって「賃金引上げ」と「生産性向上」を同時に進められる心強い制度です。
最大600万円まで支援を受けられるため、設備投資やシステム導入のハードルを下げ、事業の未来を広げる大きなチャンスになります。

ただし、交付決定前の発注や書類不備、賃上げ証明の不足といった小さなミスで支給が受けられなくなる事例も少なくありません。
申請を成功させるためには、制度の仕組みを理解するだけでなく、実務に即した準備と証拠資料の管理が不可欠です。

私たち Revive では、これまで数多くの中小企業を支援してきた経験をもとに、
申請準備から書類作成、実績報告までをトータルでサポートしています。全国対応で初回相談は無料ですので、
「うちの会社も対象になるのかな?」と気になった方は、ぜひ一度お気軽にご相談ください。

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